知の共有化

知の共有化

Digital Transformation時代に対応した文化資産のデジタルアーカイブシステムの構築、知識インフラの構築、利用環境の高度化により、知識の一層の利活用の促進を目指す。

紀要「AIを活用した「知の共有化」システムの方向性 : 「未来の図書館を作るとは」の実現に向けて 」

同志社大学学術リポジトリで公開されました。

https://doors.doshisha.ac.jp/duar/repository/ir/25845/?opkey=R151256006612149&idx=3

「AIを活用した「知の共有化」システムの方向性 : 「未来の図書館を作るとは」の実現に向けて 」

同志社図書館情報学 27号 p.42~58

http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000016828


 1980年代後半に検討が開始された電子図書館事業は、1990年前半に策定された電子図書館関連の構想において「地球規模の知的財産を誰でも容易に利用できるようにする」という目標を掲げると同時に、1990年代中旬に我が国で最初の実用化実証システムとして、「ネットワーク環境における情報と文献の利用のための高度検索システム(Ariadne)」(京都大学)、パイロット電子図書館実証実験プロジェクト(国立国会図書館(NDL))での実用化実証実験が行われた。
 国の動きでは、2003年には、e-Japan重点計画2003、e-JAPAN戦略Ⅱ加速化パッケージ、(内閣官房IT戦略本部)において、「国のデジタルアーカイブ構想」、「ジャパンウェブアーカイブ構想」の実現を、また2004年には、e-Japan重点計画2004において「国立デジタルアーカイブポータル構想」を一層推進することが明記された。
 このような動きと同期して、国立国会図書館では、国立国会電子図書館中期計画20043)を策定し、①「デジタル・アーカイブの構築」として、国立国会図書館デジタルコレクション、国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)」、 ②「情報資源に関する情報の充実」として「リサーチナビ、レファレンス協同データベース」③「デジタル・アーカイブのポータル機能」として「国立国会図書館サーチ」を構築し提供した。2005年7月に試験公開したPORTAのプロトタイプは、ナショナルアーカイブポータルの原点と言え、インキュベータの役割を果たした。
 さらに「東日本大震災アーカイブひなぎく)」により大震災関連の記録・記憶に限定はされているが、従来の図書館の枠を越えたデジタル知識基盤の構築を進めてきた。
 現在は、分野を特定せず、図書館を含めて文化情報資源、知的情報資源を保有する機関(以降、「アーカイブ機関」という。)が連携して、日本全体でのデジタル知識基盤を構築し、様々分野の情報を知識として保存し活用できるようにする機運が高まり、活動が活性化してきた。
 デジタル知識基盤を構築するに当たっては、ビジネス、制度、組織、技術等の観点から相互に関連し合う課題が多い。情報システムの構築とサービス展開、知的情報のデジタル化においては、いわゆる「第4次産業革命」、「デジタルトランスフォーメーション(デジタル革命)」と言われる技術革新とビジネス変革の時期に来ている。
 そのような現状と今後の展開を考慮すると、長尾元国立国会図書館長が2012年3月にNDLを退官される際に職員に配布された「未来の図書館を作るとは」の中で示された「未来には実現できるだろう」とされたことが、「今、この時代」の図書館で実現できるレベルにあり、これから構築する「デジタル知識基盤」は、第4次産業革命、デジタル革命の方向性に沿うことが必要と考える。
 各アーカイブ機関が、デジタル知識基盤に対応したデジタルアーカイブシステムの構築を、適正な内容と費用で行うためには、有効性が確認されている標準的な調達手順(プロセス)で行うことが重要である。
 「政府情報システムの整備及び管理に関する標準ガイドライン」(各府省情報化統括責任者(CIO)会議)は、政府機関全てでのシステム構築のプロセスと成果物を規定しているガイドラインであり、これを参考にすることにより過不足のない調達要件を受託者に提示して、適正な手順で、適切な技術、パッケージを活用したシステム開発を効率的・効果的に行うことができる。
 さらに、「政府情報システムの整備及び管理に関する標準ガイドライン」に沿った開発プロセス(タスク)を遂行できる情報システム関連の担当者の人材育成は、開発工程の個々のタスクに必要なスキルと知識の項目が示されている「iコンピテンシ・ディクショナリ(iCD)」(2016年情報処理振興機構(IPA))が参考になる。iCDで網羅的に示されたタスク毎のスキル、知識の中から、担当するタスクに応じて選択的に身に付けることにより、実践的な人材を効率的に育成することができる。