知の共有化

知の共有化

Digital Transformation時代に対応した文化資産のデジタルアーカイブシステムの構築、知識インフラの構築、利用環境の高度化により、知識の一層の利活用の促進を目指す。

電子図書館事業20年を迎えた新たな方向性の模索 (要約)【2017年5月5日】

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1 はじめに
2 コミュニケーションの保存を振り返る
3 インターネット文化でのデジタル化の意義
4 日本における大規模デジタル化の端緒
5 年表
6 国立国会図書館における電子図書館の発展の概要
6.1 1980年代から、海外の多くの先進的な図書館同様、日本でも電子図書館事業に取り組んできました。NDLは1992年、21世紀初頭に関西学術文化研究都市の一画に関西館を設置するために、具体的な構想を取りまとめました。関西館の予定する機能が、電子図書館的な機能であったこと、また国の産業構造審議会情報産業部会が公共部門の情報化を積極的に進めるべきとの提案を行ったことで、1994年に我が国で最初の大規模な電子図書館の実証実験プロジェクトを実施することとなりました。その後、2002年から本格的なサービスとして離陸し発展させて、現在に至っています。
7 電子図書館のシステム基盤の整備
7.1 NDLは、1994年1月、通商産業省(現 経済産業省)の高度情報化プロジェクト事業の一環で、情報処理振興事業協会と協力して、パイロット電子図書館プロジェクトを開始しました。このプロジェクトの目的は、21世紀の高度情報社会において、地球規模の知的財産を誰でも容易に利用できるように、広く分散して個々に収集・蓄積されている知的資源を、空間的・時間的制約を越えてアクセス可能とする環境を提供するというものです。
8 電子図書館サービスの離陸
8.1 実証実験の成果を踏まえて、2002年10月に開館した関西館を拠点として、近代デジタルライブラリー、インターネット資源選択的蓄積実験事業(WARP)、各種の電子展示会を公開・提供しました。
9 デジタルアーカイブの構築
9.1  資料のデジタル化に関しては、2009年5月から大規模なデジタル化を開始し、2015年1月までに、冊子体としては約246万冊、約2億枚の画像をデジタル化しました。これらは現在、国立国会図書館デジタルコレクションで提供しています。  また、2010年4月には 国等の公的機関のウェブサイトの制度収集を開始しました。
10 ナレッジデータベースの構築
11 デジタルアーカイブのポータルの構築
11.1  この計画に基づき、様々なデジタルアーカイブ内の情報を統合検索する仕組みの実用性を検証するために、デジタルアーカイブポータルプロトタイプ(ndldap)を開発・試験公開し、その後、実用システムとしてPORTAを構築、2007年10月に正式公開しました。この開発にあたっては、可能な限り先進技術の適用を意識したのも特徴です。
12 デジタルアーカイブのポータルの発展形
12.1 2010年に、我が国の第4期科学技術基本計画の策定に向けて決定された「科学技術基本政策策定の基本方針」(2010年6月総合科学技術会議基本政策専門調査会決定)で、「文献から研究データまでの学術情報全体を統合して検索・抽出が可能なシステム(「知識インフラ」)の展開を図る」という方向性が提示されました。これを踏まえて、NDLにおいて、2011年に「第三期科学技術情報整備基本計画」を策定し、国の知識インフラの構築の一翼を担うこととしました。「知識インフラ」とは、情報資源を統合して検索、抽出することが可能な基盤で、国内の各機関が保有する情報を意味的に関連づけて知識として集約し、新たな知識の創造を促進し、知識の集積・流通・活用と創造のサイクル構築を目指すものです。  知識インフラ構築の実現形の先行事例として、2013年3月には、「東日本大震災アーカイブひなぎく)」を構築しました。大震災に関連する災害現象そのもの、災害前・災害直後・復興の過程、災害時の対応、他地域・次世代への教訓等のあらゆる記録を後世に残すとともに今後の防災に生かすため、関係府省、各種震災関連情報の保有機関と協力して分担収集・保存し、一元的に検索・閲覧できるようにしたものです。知識インフラ構築に必要なフレームワークと次世代技術を積極的に適用しています。
13 業務システム・最適化計画2013-2017
14 今後の国の情報政策と図書館
15 現状認識と、今後の図書館の活動の方向性
16 図書館における情報システム
17 これからの図書館の運営に向けて
17.1 LODを推進する組織として
17.1.1 図書館のさまざまなデータを標準化する意義,規格の重要性等
17.1.1.1 必然性
17.1.1.1.1 サブトピック
17.1.1.2 要素
17.1.1.2.1 メタデータ記述要素・記述規則
17.1.1.2.1.1 個々の書誌情報
17.1.1.2.1.2 個々の情報の永続的識別子
17.1.1.2.1.3 同義語辞書、シソーラス
17.1.1.2.2 メタデータ交換通信規約
17.1.1.2.2.1 収集(ハーベスト)
17.1.1.2.2.2 横断検索
17.1.1.2.2.3 格納・保存
17.1.1.2.2.4 提供
17.1.1.2.3 デジタルコンテンツ仕様
17.1.1.2.3.1 画像、音声、動画、電子書籍
17.1.1.2.4 デジタルコンテンツ交換仕様
17.1.1.2.4.1 OAISに準拠した情報パッケージ
17.2 今後の図書館サービスの実現のためのタスクと必要なスキル
17.2.1 文献を含めて、文化資産の収集・保存・修復・公開の技能
17.2.1.1 図書館が扱うものは、文献だけではない。
17.2.2 専門分野に関する知見(文化・芸術・学術)
17.2.3 文化資産を取り扱うための知識・技能
17.2.3.1
17.2.3.1.1 保存・修復技術
17.2.3.1.2 文化資産に価値を見出し、情報として記述するカタロガー
17.2.3.1.3 文化資産の価値を顕在化させて共有するための企画・発信するキュレーター
17.2.3.1.4 文化資源と人々をつなぎ、新たな価値を創出するコーディネータ、エンベデッドライブラリアン
17.2.3.1.5 文化資産を扱う活動の使命を明らかにし、その達成に向け経営資源を配分し、事業を統括するマネージャー
17.2.4 デジタル技術を活用したアーカイブ化のための知見
17.2.4.1
17.2.4.1.1 文化資産を取り扱う様々な局面でITを活用し、文化資産をデジタル化し情報メディアに乗せていく技術を有する
17.2.4.1.2 著作権をはじめとする知的財産権、肖像権、契約など各種法律分野に関する知識
17.2.5 文化資産を情報として収集・組織化・保存し、公開することを実現するシステムの開発・運用管理の知識・技能
17.2.5.1
17.2.5.1.1 効率的・効果的なシステム開発を行うシステムエンジニア
17.2.5.1.2 先進技術の研究開発および実用化を目指す研究者
17.3 サービス構築に当たって留意したこと、してほしいこと
17.3.1 留意してほしい姿勢(私の信条)
17.3.1.1 効率化、人はより創造的な業務へ
17.3.1.1.1 答えが1つでアルゴリズムが明確な業務は、システム化が容易⇒人でなくてもいい
17.3.1.1.2 情報システムは、図書館員の仕事を効率化させる。そのシステムの開発には図書館員の力が必要。図書館員もITの知識が必要⇒システムライブラリアン
17.3.1.2 公的機関にありがちな前例主義・横並び主義からの脱却
17.3.1.2.1 自分が利用者だったらどうなっていてほしいか
17.3.1.2.2 「民間はできるが国だからできない」ということはない
17.3.1.2.3 組織規則、内規は、変えられる
17.3.1.3 与えられた権限には、実施の責任と義務を負っている
17.3.1.3.1 使命を果たすために与えられた権限には「実施の責任と義務がある」
17.3.1.3.2 できる範囲をコツコツとではなく、できる部分は責任を持って実施
17.3.1.3.3 できない部分は、他にどのようにしてもらいたいかも、責任を持って提示
17.3.1.4 利用者以上のITスキルを持つ
17.3.1.4.1 技術に進展は早い。若い利用者のIT利用技術は高い。
17.3.1.4.2 比して、従来からの来館利用者のスキルは?
17.3.1.4.3 来館者のスキルが高くないのは、対応する図書館員のITスキルが高くないからでは
17.3.1.5 One of themのNDLの役割を考える。Give&Takeの協力関係を想定する
17.3.1.5.1 国全体がなすべき施策の中で、個別の業務の進め方を考える
17.3.1.5.2 自分でできないことは、どのようにしてもらいたいかを提示(メリットも示す)
17.3.1.5.3 個別案件の利害調整でなく、出版文化の発展に向けて、ビジネスモデル全体での役割調整
17.3.1.5.4 創造力を持ったサービスの設計
17.3.1.6 外部の動き(特に商用サービス)を知る組織外の情報を組織内へ
17.3.1.6.1 他の図書館、出版界、他の業種、業態の人との交流の場、主催も。出向も積極的に
17.3.1.7 今後10年を見据える
17.3.1.7.1 世の中の動向を想定する。⇒自分の将来を見る
17.3.1.7.2 今の延長で可能な範囲での実施でなく、今後10年の社会のニーズを見据え、国全体で何をする必要があるか?
17.3.1.7.3 その時、図書館は?司書は?
17.3.1.8 未来は自分が描き、自分で作る。
17.3.2 サービスの構築・運用にあたって
17.3.2.1 サービスは、業務とシステムで実現 システムは、サービス要件に従って構築するもの
17.3.2.1.1 サービスは、人による業務と人によって作られたシステムで実現
17.3.2.1.2 システムはサービスを向上させるためのもの。従来は人の行ってきたことをシステムに置き換えてきた。今は、システムを使って人の力ではできないサービスの実現を目指している
17.3.2.1.3 システムは人が作ったサービス要件・業務要件に基づいて作られるもの。ただし、その要件は、現状の業務やサービスをそのまま定義したものであってはいけない。
17.3.2.1.4 その要件に従ったシステム化要件書(仕様書)に従って人が開発し運用するもの
17.3.2.2 従来からの利用者には、より利便性の高いサービスがあることを伝える
17.3.2.2.1 従来型のサービスの使い方を教えるのではなく、より便利になったサービスを伝える
17.3.2.2.2 そのためには、図書館員自身がより便利な使い方を習得している必要がある
17.3.2.2.3 より便利なサービスをシステムで実現するためには、世の中のサービスの動向、今システムでどこまでできるかを知っている必要がある
17.4 NDLの今後
17.4.1 冊子体からデジタルへそして文化情報資産全般へ
17.4.1.1
17.4.1.1.1 デジタル情報時代において、出版物は、冊子体から動画・音声等を含むマルチメディア化されたコンテンツへ移行しつつあります。 また、冊子体の原資料は文化財として保存するために、デジタル化していくことが求められています。 他の文化財保有機関においてデジタル化が進む状況において、文化的資産をあらゆる人々が将来にわたり享受、活用できるようにし、人々の創造的な活用に貢献するためには、社会全体でデジタル情報資源の「見える化」はもとより、より効率的なアクセスの保障に取り組む必要があり、組織を越えたナショナルアーカイブは重要な役割を果たすことになります。
17.4.2 関係機関と連携して国として情報をアーカイブ、そして、世界規模のアーカイブ構築の一翼を担う
17.4.2.1
17.4.2.1.1  産学官のそれぞれの組織は、これらの施策が同一の方向性を持って、相互に資源を補完し合っていく必要があります。 NDLは、ナショナルアーカイブの構築、さらに、世界レベルでの「インターナショナルアーカイブ」の構築へと発展することを目指し、その中核的な役割を担っていくべきと考えています。
17.4.3 知識創造を支援する図書館の役割の見直しを加速
17.4.3.1
17.4.3.1.1  同時に、今後10年のデジタル情報化の進展を見据えつつ、このようなナショナルアーカイブを利用して知識創造のための情報が入手できる状況になったときに、知識創造を支援する図書館の役割は何か、また図書館に必要な機能の検討を加速させる必要があると考えます。
17.5 皆さんへの期待
17.5.1 夢を実現させる強い意志
17.5.1.1 このような活動を推進させるためには、従前の事業にとらわれずに、将来への夢を持って、その夢を実現させる強い意志を持った若い人の力が必要です。 そのような人材が当館の採用試験に応募していただけることを期待しています。
17.5.2 10年後、20年後の社会を見据えて
17.5.2.1 10年後、20年後をイメージして、それを実現するために自分は何をすればいいかを考え、それを実践してほしい。
17.5.2.2 個人として、組織として、世の中に貢献。組織としての責任と義務を果たして、存立し続けられるように。
17.5.2.3 理想と現実のギャップがあった場合は、理想を追求してほしい
18 おわりに
18.1 デジタル情報時代において、出版物は、冊子体から動画・音声等を含むマルチメディア化されたコンテンツへ移行しつつあります。また、冊子体の原資料は文化財として保存するために、デジタル化していくことが求められています。他の文化財保有機関においてデジタル化が進む状況において、文化的資産をあらゆる人々が将来にわたり享受、活用できるようにし、人々の創造的な活用に貢献するためには、社会全体でデジタル情報資源の「見える化」はもとより、より効率的なアクセスの保障に取り組む必要があり、組織を越えたナショナルアーカイブは重要な役割を果たすことになります。  産学官のそれぞれの組織は、これらの施策が同一の方向性を持って、相互に資源を補完し合っていく必要があります。NDLは、ナショナルアーカイブの構築、さらに、世界レベルでの「インターナショナルアーカイブ」の構築へと発展することを目指し、その中核的な役割を担っていくべきと考えています。  同時に、今後10年のデジタル情報化の進展を見据えつつ、このようなナショナルアーカイブを利用して知識創造のための情報が入手できる状況になったときに、知識創造を支援する図書館の役割は何か、また図書館に必要な機能の検討を加速させる必要があると考えます。